公共工事がなくなり自民党が差配していた富の分配構造が崩壊している間隙をついて、小沢が打ち込んだのは、「農家に対する所得補償」という楔(くさび)だった。
地方紙のWeb新聞をチェックすると、5月、6月と小沢が精力的に一人区を巡り、地元の現職の自民党議員が露骨に反発していた様子が浮かび上がってくる。
中央が吸い上げた富を公共工事や地方交付税という形で地方に再分配するという、明治以来続いてきた富の分配構造が崩壊した現在、財務省も本音では賛同せざるを得ない政策だ。というのも、富の分配の方法としては、真水(所得補償)を直接農家に分配する方が、一番無駄が無く、最も効率的だからだ。
老人ばかりになった過疎地の一人区の町や村に一度でも立って見れば、人っ子ひとり歩いていないような土地に対してどんなに投資を重ねたとしても、文字通りドブにカネを捨てるようなものであることが誰にだってわかるはずだ。
100世帯しか住民がいない村に10億円かけて無駄な道路や将来にわたり金食い虫になる公共施設を建設するよりも、年間50万円の真水の所得補償を世帯ごとに行えば、10年間にわたって支給しても、半分の支出ですむ。
その意味で、小沢一郎が提唱した農家に対する所得補償とは、富の分配ルールと手法の転換の先取りを意味するものといえるだろう。
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